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鳥屋野潟の水辺について

-豊かな生態系を受け継いでいく為に、人と水辺の関わり方の再考を-


○潟の豊かな生態系と水質にとって欠かせない、ヨシ原
鳥屋野潟は、動物600種以上、植物は400種以上が確認されており、都市の中にありながら豊かな生態系を有している全国的に見ても稀有な潟です。

そんな鳥屋野潟の水辺には、多年草の水草であるヨシが生えています。水辺に生えるヨシは、水中の富栄養分を吸い上げる作用をもちます。かつては、冬場に枯れたヨシが倒れて吸い上げた富栄養分が水中に戻ってしまう前に、人々がヨシを刈り取っていたことで、結果的に水質浄化の役割を持っていました。また、ヨシ原の中で子育てをするオオヨシキリは、毎年鳥屋野潟を目指してやってきます。昔も今も、生態系と水質にとって鳥屋野潟のヨシ原は欠かせない存在なのです。 

鳥屋野潟の水辺の生態系


○鳥屋野潟の課題 -手付かずの水辺-
ですが、現在の鳥屋野潟のヨシ原は手付かずの状態になっていて、それによって近年は水辺の植生にも変化が起きています。ヨシ原の植生遷移です。人が管理しないことで次第にノイバラや樹木が侵入し、樹林化してきています。近年ではこれに加えてセイタカアワダチソウやアレチウリといった外来種の侵入・増加も観られ、在来の植物を押し退け、広く高く繁殖しています。

また、毎年生えてくるヨシをそのままにしておくと、枯れたヨシが水辺に堆積し、徐々に陸地化が進み、水生生物の住処は狭くなっていきます。また、せっかくヨシが湖水から吸い上げた富栄養分が再び水中に戻ってしまい、水質浄化作用が十分に発揮されません。更に、荒れたヨシ原は不法投棄の温床になる恐れもありますし、冬場に枯れて乾燥したヨシに何かの拍子で火がつけば、都市火災が発生してしまう危険もあります。


○かつての人々と水辺との関わりと、これからの関わり方について。
かつて鳥屋野潟のほとりに暮らす人びとは、年に一度ヨシを刈り取ったり、野焼きをしたりすることで水辺を整えていました。そうして翌年にはまた真っ直ぐ伸びた質の良いヨシが生えてきて、そのヨシを利活用するサイクルが存在していました。そうやって、人々が適度に手を加えていたことで、鳥屋野潟の水辺や生態系が維持されていました。また、マコモなどは食用としても刈り取られていたそうです。

私たちの水辺との関わり方が変われば、潟の生態系も変わっていきます。豊かな水辺を受け継いでいくために、これからの人の暮らしと水辺の関わり方についても、いま一度深く考え、探っていくことが大切なのでは無いでしょうか。


人の為だけではなく生態系の為にも、鳥屋野潟の水辺に人が適度に手を加え、ととのえていった方が良いのでは無いか。
現在でも、新潟市内の福島潟や、滋賀県の琵琶湖畔のヨシ原では、水辺の環境や生態系をととのえることを目的に、「野焼き」や「ヨシ刈り」が行われています。事実、既存の研究論文にて、ヨシを野放図にしておくよりも、人がある程度手を加えた方が生物の多様性が増すとの研究結果もあります。

都市の中に位置し、嫌が応にも人と生態系の共存が求められる鳥屋野潟では、野焼きは無理だとしても、生態系の為に人が適度に手を加え、水辺の植生を整えていくことが、都市と生態系の共存に繋がっていくのでは無いでしょうか。

あくまでその副産物として、例えば潟の周囲の見晴らしがよくなって、水辺の風景がより楽しめる様になったり、人が水辺で釣りを楽しめたりするなど、潟の恩恵を受けることができる様になれば、人と潟の心地良い関係が築くことができ、持続的に潟の生態系を守っていくことにもつながっていくのでは無いかと思います。