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ウィンターキッチン-持続可能な取り組みから見えてきたこと-

「持続可能」をコンセプトに掲げて開催した、今年のとやの潟ウィンターキッチン。先日の記事では今年新たに取り組んだことをご紹介しました(前回記事:とやの潟ウィンターキッチン2020を開催して)。この記事では、取り組みを通して見えてたことや、これからの展望をお伝えしようと思います。


参加者の自由度があがり、それぞれのペースで関わることができた。
昨年までは期間をはっきりと定め、その期間は基本的には、どの参加店舗さんも一律でメニュー提供していただいていました。しかし、各店舗によって、仕入れなどの状況が異なり、決まった期間で必ずメニュー提供を行うのには一定の負担が生じます。
今年は、イベント期間こそ2月12日から3月15日までと定めていたものの、各参加店舗の好きなタイミングで開始していただきました。また、期間終了後にも自主的に鯉を使ったメニュー提供を続けてくださる店舗もあり、参加店舗の方々がそれぞれが関わりやすい形でこのイベントに参加して貰えた側面もあったように思います。


運営者の負担軽減だけでなく、参加店舗やメニューに多様性が生まれた
今年は、助成金を利用せず、決まり事もできる限り少なくすることで、運営者である私たちも、昨年までよりも負担を減らすことが出来ました。私たちが介入する場面が少なくなった分、参加店舗の方々が自由にできる部分が増えたことで、参加店舗やメニューにも多様性が出ました。


大切なことは、「関わる人たちがプロジェクトをいかに”利用”できるようにするか。
地域でうまく続いていかないプロジェクトというのは、主催者の権限が強すぎたり、開催規模にこだわりすぎたり、ルールが多かったり、目標がはっきりし過ぎていることがあるのかなと思います。
地域の人たちは、いくら価値観を共有できていても、それぞれの状況や事情は異なります。関わる人たちが、それぞれの都合に合わせて、そのプロジェクトを”利用”できるような、自由度や余白も確保しながら、プロジェクト設計を進めていくことがとても大切なのではないかと、今回のプロジェクトを通して感じました。



-これからの展望 持続可能な潟の食文化を目指して –

①地域に少しずつ芽生えてきた、新たな動き
昨年まで地域の小学校と連携して行っていた「こどもキッチン」を今年は当イベントの一環としては行いませんでした。
ですが、授業の一環として鳥屋野潟の歴史や食に触れるプログラムを自発的に行う小学校が地域に増えてきていて、ウィンターキッチンという”枠”がなくても、自発的に鳥屋野潟に向き合っていく動きが育ってきています(東曽野木小学校で行われた調理実習)。こういった芽を、大切に育てていきたいと思っています。


②世界の動きと呼応 -サスティナビリティ-
気候変動が進行するなか、世界中で、自然環境との関わり方や、人々の暮らし方を見直す動きが広がっています。
今回のウィンターキッチンでは、リユース食器の活用やフードロス削減により、そういった世界の動きに呼応する面を作り出せたと思っています。これからも、イベント自体の持続性に限らず、もっと大きな視点でみたときのサスティナビリティにも向き合ったプロジェクトとしても育てていきたいと思います。


③鳥屋野潟エリア全体の動きと、今後の展望
鳥屋野潟の周囲のエリアでは、“潟マルシェ”“おひさま日曜市”といった、自然環境や地域によりそう価値観をもった催しが定期的に開かれる様になりました。また、昨年にはカヤックやサイクリングなどのアクティビティが、コンテンツとして生まれました( 詳しくはこちら)
こういった、鳥屋野潟エリア全体で生まれつつある動きとも連動しながら、鳥屋野潟の食を通し、持続可能な地域の文化としてをつくるプロジェクトとして、これからも取り組んでいこうと思います。

ライター
(株)U・STYLE ディレクター
松浦裕馬