試行錯誤をかさねながら
ソーシャルディスタンスツール「ミナモ」の制作ストーリー(3)
- 【ミナモの制作ストーリー 連載記事一覧】
- 1.鳥屋野潟の葦で、地域課題に応えるプロダクトをつくりたい
- 2.コロナ禍を機にはじまった、リモートでの制作
- 3.試行錯誤を重ねながら(当記事)
- 4.距離?それとも距離「感」? ~たどり着いた形~
U・STYLEの松浦裕馬がお伝えしている、ソーシャルディスタンスツール「ミナモ」の制作ストーリー。前回記事に引きつづき、お伝えします
□試行錯誤を重ねながら
そうしてはじまった制作。
まず出た案が、葦をいくつも立てたロの字型の柵のような枠のモジュールをいくつもつくリ、互い違いや交互に広場に配置していくというアイディア。
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葦の粗密や、断面の角度そして、モジュール同士が互いに重なって見えたときの見え方の変化などを操作して、人と人の間に物理的な距離を与えたり、距離感についての意識を喚起させるような仕掛けができないかと考えました。
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実際に葦原に入ってみて、葦を刈り取り、実寸でつくってみます。
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刈り取った葦。想定していたよりも硬く、曲がり方や太さもバラバラでした。
まずは木材でフレームをつくります(当初は木材のみで作ろうとしていました)。
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作ったフレームに、葦をくっつけていきます。
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葦の粗密や長さに変化をつけ、まずは波形の様な形態をつくろうとしました。
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つくって見ると、葦の量がある程度ないと、そもそも葦の質感が活きてこない印象です。
粗密をつけたり、葦の長さを変えるなどの細かい操作をしても、そこに身をおいたときの居心地や造形的にあまり効果は無いように感じました。
そこで、密度を更に高めてみます。
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これぐらいでやっと葦の質感が活きてきます。
実際につくってみると、葦の長さや粗密を細かく細工をする仕掛けの効果は薄そうだと分かりました。
また、保管スペースを確保できるかなど、収納や運搬などの機能的な面にも課題が出てきました。
□少しずつみえてきた形
収納や運搬などの面からもいろいろと試行錯誤した中で、始めに使用した木材よりも細い鉄筋を使用してフレームをつくり、それに葦をくくりつけてみることになりました。
そうして、奥野氏もわざわざ車で関東から新潟に。ホームセンターで資材を買い、実際に検討してみます。
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二日間の夜通しの作業で、こんな形のものが出来上がりました。
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試しに横にしてみます。今の形に少しずつ近づいてきましたね。
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その後数日間で更に進め、葦を銀色に塗装する、いまの形になっていきました。
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